Dr.青木の日々是ウェルエイジング!

アンチエイジングなアブラとは?

2024.04.05
アンチエイジングなアブラとは

ご存知の通り、アブラ=脂質は三大栄養素のひとつです。
脂質は効率的なエネルギーの貯蔵庫(皮下脂肪など)となる以外にも、細胞膜やホルモンの材料にもなります。
また脂溶性の栄養素の吸収を助け、皮脂は肌のバリア的な役割を担ったりと人間が健康に生きて行く上では欠かせない重要な栄養素なのです。
ダイエット志向の強い10代後半〜20代前半の女性の中には脂質を忌み嫌っている人もいるでしょうが、このように脂質は人間の体にとって必要な栄養素なので、不足させることなく摂取して欲しいものです。

さてアブラといっても様々な種類のアブラがあります。
アンチエイジングにおいていいアブラとはどんなアブラなのでしょう?

まず、アブラ=脂質は大きく二種類に分けることができます。
常温で液体の「油」(サラダ油など)と、常温で固体の「脂」(ラードなど)です。
脂質の主成分は脂肪酸で、炭素、水素、酸素からできていて、それぞれの結合の形によって飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸に分かれます。
飽和脂肪酸は炭素同士の二重結合がない脂肪酸で牛脂やラードなど動物性脂肪に多く含まれています。低温で固まりやすい性質があります。
不飽和脂肪酸は炭素同士が二重結合で結ばれた脂肪酸で、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸があり、悪玉(LDL)コレステロールを下げたり過酸化脂質の発生を予防する働きがあります。不飽和脂肪酸は魚や植物油などに多く含まれています。不飽和脂肪酸の一種であるリノール酸やα-リノレン酸などは必須脂肪酸とも呼ばれ人間に必要不可欠な栄養素なのですが、これらは体内で生成することができないため、主に食品から摂取する必要があります。

不飽和脂肪酸は大きく3つの種類に分類されます。まずは、一価の不飽和脂肪酸としてオメガ9系(オレイン酸)の脂質。酸化しにくく加熱にも強いので調理にも使いやすい油です。オリーブオイルに多く含まれています。多価不飽和脂肪酸にはオメガ6系(リノール酸)とオメガ3系(αリノレン酸)のものがあります。

アンチエイジング的にいいアブラとされているものは次の3つです。
まずはオメガ3系不飽和脂肪酸。青背魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)には脳細胞を活性化させ血液をサラサラにし、抗炎症・抗アレルギー作用などもあることがわかっています。植物系のものだと、亜麻仁油、エゴマ油から摂取できますが、長時間の加熱に弱く、酸化しやすいという欠点があります。加熱調理に向く油としては、オメガ9系不飽和脂肪酸であるオリーブオイルがおすすめです。3つめはココナッツオイル。こちらは飽和脂肪酸ですが中鎖脂肪酸が多く代謝のいい脂質なので太りにくく、ココナッツオイルダイエットにも使われたりします。また、アルツハイマー病予防や免疫力アップにも効果が期待されていて、当に今注目のアブラです。加熱にも強いので揚げ物や炒め物にも使えます。独特の香りが気になる方は微香性のものを選ぶといいでしょう。

日常多く使われているサラダ油に含まれるオメガ6系不飽和脂肪酸はどうなのでしょうか?
必須脂肪酸ではありますが、現代の日本においてはこれが不足することはまずありません。逆にオメガ6系の脂質摂取過剰が問題となっていて、それがアレルギー疾患、生活習慣病、うつ病などを増加させている原因だと考えられています。オメガ3系:オメガ6系の比率が1:1〜4くらいになることが理想なのですが、現実は1:10〜30にもなっています。そこで、調理にはサラダ油の代わりにオリーブオイルやココナッツオイルを使うことでそのバランスをより良いものにすることが期待できるのです。

マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種ですが、特殊な化学的処理で常温で固体になるようになっています。このトランス脂肪酸は心臓の冠動脈疾患を引き起こす可能性が高くなることが指摘されていてアメリカでは食品医薬品局が段階的に禁止していくことを決めています。トランス脂肪酸はファストフードのフライドポテト、スナック菓子、菓子パン、ケーキ、ドーナツ、カップ麺などに普通に使われていますので摂り過ぎには注意しないといけません。農林水産省では一日あたり2g未満にするよう勧告しています。「食用精製加工油脂」と表記されたものには注意が必要です。

内科的に考えるアンチエイジング(健康⻑寿)の 三本柱は、運動、メンタル、日々の食事です。食べたいものを漫然と食べていたのでは、カラダ の中の細胞から老化が進む可能性があります。アンチエイジングのためには、良い脂質をバランス良く摂ることはもちろんのこと、必要以上の糖質摂取を控え、良質なたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど現代人に不足しがちな栄養素を上手に摂ることが大切です。

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