Dr.青木の日々是ウェルエイジング!

ワインでアンチエイジング!

2024.05.16

人の寿命を規定するのは環境要因が70%、遺伝要因が30%と考えられています。すなわち、アンチエイジング的な生活習慣を日々実践していくことで、健康長寿としてのアンチエイジングは可能だということです。
抗加齢医学では、健康長寿を実現させるための生活様式を実践してアンチエイジングな生活へと行動変容していくことを提言しています。例えば、「食」においては、“腹七分〜八分の食事量で緑黄色野菜や果物、青背の魚、発酵食品を毎日摂る”、「運動」では“1日10,000歩以上歩く習慣をつける”、「精神」では“生きがい(目的)を持って生きる”などです。

私は「アンチエイジングと食」をテーマに研究を続けてきました。
どんなものを食べ、どんなものを飲むべきなのか?その中で、ワインの健康効果に興味を持ち、とうとうワインエキスパートの資格まで取ってしまいました(笑)。

さて、赤ワインは健康にいいお酒として良く知られています。
赤ワインに多く含まれるポリフェノールには、動脈硬化を予防する効果があることはフレンチ・パラドックス*としても有名ですね。
実はここ最近、赤ワインのポリフェノールのひとつであるレスベラトロール(黒ブドウの果皮に多く含まれている)という成分がアンチエイジング医学の分野で大変注目を集めているのです。

レスベラトロールは、1939年に日本人の学者である北海道帝国大学の高岡道夫が発見しました。
1990年代のワインブームの頃に赤ワインには大変多くのレスベラトロールが含まれていることがわかり、にわかに研究が進みました。
そして21世紀になると、このレスベラトロールが長寿遺伝子を活性化させ、長寿延命に働く物質であることがわかってきたのです。
この点については今現在も日々研究が進められているところですが、レスベラトロールは強力な抗酸化力を持つ物質であり、動脈硬化予防、抗がん作用、糖や脂質の代謝改善、メタボ改善、認知症予防、美肌効果、男性のED(勃起不全)改善効果などが臨床研究などでも確認されてきています。
実は、これらは考えてみると全て“抗老化”の作用に他なりません。
レスベラトロールは今まさに不老不死の成分として注目されている物質なのです。

遠く歴史をさかのぼること4,000年…
古バビロニア時代に記されたとされるギルガメシュ叙事詩には、太陽の国にある魔法のぶどう園で造られるワイン(おそらくは赤ワイン)を飲むと永久の命が得られるという記述があります。
ギルガメッシュの時代から4,000年以上を経て、ようやっとワインが実際に不老長寿に関係するお酒であることが解明されたことに不思議な感動を覚えます。因みにレスベラトロールをはじめとした抗酸化ポリフェノールを多く含むブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、ネッビオーロ、タナ、シラー、マルベックなど。また、同じヴィンテージ、同じ品種の場合はより温暖で日照量が多いところのブドウの方がレスベラトロールは多くなります。同じカベルネ・ソーヴィニヨンであれば、フランスはボルドーのものよりもチリ産のワインの方がよりアンチエイジングに働くといえるでしょう。
皆さんも是非、ワインでアンチエイジングの実践を!ただし、飲み過ぎにはご注意(笑)。

*フレンチ・パラドックス:肉やバターなどの動物性脂肪を多く摂っているフランス人は体内のコレステロールが増えて動脈硬化を起こし心臓病で死亡する人が多いはずなのにそうでもないのは、毎日赤ワインを飲んでいるからだとする説

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